私の栄養療法 失敗体験談

前回、栄養療法を取り入れ始めた方のよくある失敗ケースについていくつかまとめてみました。よくありがちな一例を載せましたが、まだまだ他にも色んなケースはあります。

今回は私自身が実際に体験した失敗談について書いてみたいと思います。最近では代替医療とし注目を浴びつつある栄養療法ですが、やはりうまくいったケースだけではなく、どういう場合にうまく効果が表れないのかを知っておく必要があります。私は分子整合栄養医学との出会いは自身の体調不良がきっけで、患者サイドとしての出会いでしたが、その後「この医学を広めたい!」という志から栄養療法をもちいた治療する側として勉強し実践してきました。当時は辛くなかなか体調不良が改善しないことへのいら立ちや不安などありましたが、この失敗談は治療家として今となっては、このすべての経験が治療家として大きな宝となっていると感じています。

私のように単に高たんぱく・メガビタミンミネラルだけでは改善しない多くの方がいらっしゃるのだということを感じています。前置きが長くなりましたが、不調だった当時の私の症状やまた実践していたことなどをご紹介したいと思います。

私が最終的に分子整合栄養医学に出会った体調不良の原因は「口腔カンジダ」が原因でした。耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、「口腔カンジダ症」とは口腔内にいる普段はあまり悪さをしない日和見菌とよばれる真菌の一種であるカンジダ菌が過剰に増殖することによって発症します。

教科書的には加齢・ステロイド・がん・抗がん剤治療・清掃性の悪い義歯・エイズなどで発症すると言われています。症状は口の中が白い膜で覆われたりすることが有名です。またびらんや痛みなども出現することもあります。一般的には偽膜性と呼ばれるカンジダ症では口腔内に白い苔が出現しガーゼなどで拭き取ることができます。これが教科書的には有名な所見です。一方萎縮性(紅斑性)と呼ばれる発赤やびらんを伴いヒリヒリした痛みを伴うこともあります。

私の初期症状は偽膜性タイプではなく紅斑性のものでいわゆる口腔カンジダの典型的な所見ではありませんでした。しかし私も口腔外科にいたこともあり、口腔内のヒリヒリする痛みや赤みはおそらく口腔カンジダではないだろうかと検討がつきました。しかし口腔内の細菌培養検査では何度検査しても陰性ということでいくつか受診した病院ではカンジダ菌ではないという診断がつきました。原因不明ということになってしまったのです。

実際、抗真菌薬の塗り薬やうがい薬を使うもほんのわずかの改善しか見られず、完治にはいたりませんでしたが、内服の抗真菌薬を服用すると明らかに症状はよくなったのです。しかしまた疲れすぎたり、寝不足が続くと再発を繰り返すということで歯科医師でありながら自分の病状を完治できずにいました。今思えばやはりカンジダ菌の過剰増殖による口腔内常在菌のアンバランスはただ単に抗真菌薬の内服や抗真菌のうがい薬、塗り薬などの対処療法では完治は難しく、全身の免疫力低下、全身のミトコンドリア機能の低下、糖質の過剰摂取、などなど多岐にわたる原因が絡み合いそこへのアプローチが必要だと理解できます。

この状態でどこの病院にいっても私の血液検査は異常なしで、問題ないと太鼓判をおされましたが、その後運命的に分子整合栄養医学に出会いこのころの私の栄養状態は悲惨な状態であったことがわかりました。

①重度鉄欠乏性貧血

②低たんぱく

③重度亜鉛不足

④胃酸・消化酵素不足

⑤交感神経過緊張

⑥ビタミンB群不足

⑦抗酸化力不足

などがありました。

失敗ケース1

「口腔カンジダ」→厳格なカンジダ除菌食、厳格な糖質制限の実行。

当時は今ほどカンジダ菌についてはネットなどで検索しても出てくることはほとんどなく情報源は海外のサイトがほとんどでした。

カンジダ菌によくないとされるもの

①糖質②アルコール③グルテン・カゼイン④発酵食品⑤食品添加物⑥キノコ類などの完全除去食を実施

→食べるものはかなり限定的、調味料は塩のみという食事を実践

→食事の選択肢が少なく、食事そのものがストレス。もちろん体重は1か月で8キロ減

→少しでも砂糖や添加物を食べると口腔内が赤く痛みが強くなり、単なる除去食の継続では完治にいたらないどころかさらなる免疫力の低下を招きました。

<学び1> 

「カンジダ症」は単なるカンジダ食の継続では根本治療にはならない。全身の免疫力の低下がそもそもの原因。免疫力を上げるアプローチが必須

失敗ケース2

「重度鉄欠乏性貧血」→ヘム鉄の大量処方。1日9粒のヘム鉄を摂取

→一時少し体調がよくなったような感じもしましたが、フェリチンの上昇のわりに症状や体感はよくならず、ヘモグロビンの値も頭打ちになりました。口腔カンジダはもちろん改善しない。

→酸素を運ぶヘモグロビンにとって重要なミネラルの鉄ですが、低たんぱく時における過剰な鉄の投与はヘム鉄といえども活性酸素の発生源になり炎症を引き起こす。

→また感染が考えられる場合、鉄の過剰投与は細菌毒性を加速させカンジダ感染を憎悪させるリスクが高まる。

→体調不良を起こしている方は腸内や上咽頭など肝臓に慢性炎症を起こしているケースが多く、慎重に鉄の補給は考えるべき。

<学び2>

鉄は人間にとっても重要なミネラルであると同時に、細菌にとっても重要なミネラル。感染・炎症の有無を把握し短絡的な鉄の投与かえって回復を遅らせている可能性がある。

失敗ケース3

「低たんぱく」→高たんぱく食・大豆プロテインの摂取

→胃腸・消化機能を無視した高たんぱく食やプロテインの摂取は腸内環境の悪化、腸の炎症を引き起こし、リーキガットを引き起こしました。

→高たんぱくにすることで、髪の毛が抜けずらくなったり、爪の状態がよくなったりというメリットも確かに実感。

→しかし胃腸の膨満感や便の状態の悪化などの後、体に湿疹が出始める。何を食べても身体が反応する状態になり食べられるものがさらに減りました。

<学び3>

胃腸・消化機能を無視した高たんぱく食やプロテインは腸の炎症を引き起こし、リーキーガットの原因になりかえって回復を遅らせる。

また大豆プロテインは甲状腺機能低下の方は特に摂取は積極的にするのは控えたほうがいい。まずは消化機能のサポートが必須。

長くなりましたのでこの続きは「失敗体験談2」へ続く