慢性疾患や難治性疾患の原因に密接に関係している腸の状態を知るのに適した検査です。
分子栄養学の基本は、まずは胃腸の状態を整え栄養の消化・吸収・排便が健康な状態でスムースに行われることが基本になります。
顕微鏡検査や培養法による便検査は身近なものですが、感度、特異性、嫌気性菌の識別などに限界があります。GI-MAPは、病気を引き起こしたり、正常な微生物のバランスを崩したり、慢性的な胃腸疾患の原因となる最近、寄生虫、ウィルスなどの病原体に注目し、最新の定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR/リアルタイムPCR)技術を用いて、1回の便サンプル(採便容器1本のみ)から消化管内の微生物叢DNAを定量的に評価し、正確かつ信頼性の高い結果を提供する革新的な臨床ツールです。
GI-MAPからわかること
腸内の病原体、細菌、ウィルス、寄生虫などのDNAを調べ、腸内の健康状態を評価できます。各検査マーカーに対応する定量値を特定し、患者様の消化器で何が起こっているのかを把握します。
-
- 病原菌(カンピロバクター、クロストリジウム・ディフィシルトキシンA/B、サルモネラ、大腸菌O157、腸管性毒素原生大腸菌LT/ST、志賀毒素stx1/stx2、腸管出血性大腸菌、腸管侵入性大腸菌/赤痢菌、コレラ菌、エルシニア・エンテロコリチカ)
- 寄生性病原体(赤痢アメーバ、ジアルジア、クリプトスポリジウム)
- ウィルス性病原体(腸管アデノウィルス40/41、ノロウィルスGⅠ/GⅡ)
- ヘリコバクター・ピロリ(病原性因babA/oipA/cagA/vacA/dupA/virB/iceA/virD)
- 寄生虫(原虫:ブラストシスチス・ホミニス、小形アメーバ、メニエール鞭毛虫、大腸アメーバ、サイクロスポーラ属、ペンタトリコモナス・ホミニス(腸トリコモナス)、二核アメーバ 蠕虫:鉤虫、ヒト蠕虫、ヒト回虫、有鉤条虫/サナダムシ、アメリカ鉤虫)
- 日和見菌(腸内細菌のバランス異常/細菌異常増殖:バチルス属、エンテロコッカス・フェカーリス、エンテロコッカス・フェシウム、緑膿菌、ブドウ球菌属、黄色ブドウ球菌、モルガネラ属、連鎖球菌属、シュードモナス属、メタノバクテリウム科)
- 潜在的な自己免疫トリガー(シトロバクター属、シトロバクター・フレウンディ、プレポテラ属、プロテウス属、クレプシエラ属、プロテウス・ミラビリス、クレプシエラ・ニューモニエ、フソバクテリウム属、ヨーネ菌)
- 真菌・酵母菌(カンジダ属、カンジダ・アルビカンス、ミクロスポリジウム属、ロドトルラ属、ゲオトリクム属)
- 日和見ウィルス(CMV-サイトメガロウィルス、EBV-エプスタイン・バール・ウィルス)
- 正常細菌叢/共生細菌(アッカーマンシア・ムシニフィラ、エンテロコッカス属、バクテロイデス・フラジリス、エシェリヒア属、ビフィズス菌属、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ、クロストリジア網細菌、ラクトバチルス属、エンテロバクター属)
- マイクロバイオータ(バクテロイデス門、ファーミキューテス門、またこの2つの比率)
- 腸の健康マーカー
消化
・ステアクリット
・エラスターゼ-1、
GIマーカー
・β-グルクロニダーゼ
・免疫学的便潜血検査
免疫応答
・SIgA(分泌型免疫グロブリンA)
・抗グリアジンSIgA
炎症
・カルプロテクチン
追加検査
・ゾヌリン(リーキーガットマーカー)※腸管透過性のバイオマーカー
-
- 抗生物質耐性遺伝子(表現型/ヘリコバクター属:アモキシシレン、クロリスロマイシン、フルロキノリン、テトラサイクリン、遺伝子型 マイクロバイオータ耐性遺伝子:β-ラクタマーゼ、フルオロキノロン、マクラロイド、バンコマイシン)
など
GIMAPと関連する疾患
- 慢性および急性の胃腸炎
- 下痢・便秘
- 自己免疫疾患
- SIBO
- IBD-炎症性腸疾患/IBS-過敏性腸管症候群
- 真菌・イースト菌/細菌・寄生虫感染症
- 乳幼児の消化系の不調
- にきびや乾癬などの皮膚の問題
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
など。
総合便検査の流れ
-
- キットをお渡しし、月曜の朝、ご自宅で便を採取していただきます。
*採取前4日間、アスピリン等の非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)の服用は控えてください。
*当院に検体(便)を月曜の9~10時半の間に持ってきていただき、こちらから検査会社に郵送いたします。(採取から5日以内にアメリカの検査会社に届ける必要がありますので、採取日時が限定されます。送料は6875円、患者様負担となります。)
- 検査結果がでるまで1か月前後かかります。
- 検査解析カウンセリング(解析料金:検査代金には含まれておりません。別途60分 17,600円がかかります。)