オーソモレキュラー療法での具体的な治療の流れ
分子整合栄養医学の基本は個体差を把握するということです。不定愁訴の原因を探るため、個体差を把握するために第一ステップとして「血液検査」を行います。 健康診断などで行う基準値にとらわれた血液検査や臓器別疾患として考える一般内科的な診断とは違い、分子整合栄養医学で実施する血液検査では、一人の人間の身体を60兆個の細胞としてとらえ、細胞の状態を推測していきます。 過不足してる栄養素を特定するためや活性酸素による酸化ストレスなどを把握するため、検査する項目は多岐にわたります。
また食生活や生活習慣などのヒアリングも十分に行い血液検査とあわせて、不定愁訴の原因を探ります。 食生活や生活習慣に根本原因が見つかる場合も数多くあります。
- 肝臓の状態、脂肪肝の有無
- 貧血の状態
- 低血糖状態の有無
- 胃腸消化機能(体に入った栄養素をきちんと消化し吸収できているか)
- ミトコンドリア機能が正常で、エネルギー合成できているか
- タンパク質がきちんと合成できているか
- ビタミン、ミネラルが十分にあり、酵素が円滑に働いているか
- 抗酸化力の状態
- 自律神経のバランスは乱れてないか など
通常はこの段階で、血液検査の結果を分析し食事指導、生活指導をまず行います。場合によっては食事からの栄養の補給だけよりも効率よくサプリメントとして栄養素の補給を行った方がいいと判断した場合や、早期に体調不良の改善を望まれる方などにはサプリメントをお勧めする場合がありますが、患者様の意向も十分にヒアリングし、その方にとって最善な治療法を決定していくことになります。ここでよく知っておいてほしいことがあります。
栄養療法をただ単に、プロテインをはじめとしたメガビタミン、メガミネラルなどの大量摂取と誤解をされている方が多くいらっしゃいますし、実際にこの段階で大量のサプリメントを勧められるケースもありますが、実際はサプリメントをいくら摂取しても、身体がその栄養素を消化、吸収、利用できるかどうかが、とても重要なのです。
例)
- 胃、腸などの状態⇒栄養素の消化、吸収不良障害
- 体内に水銀などがたまっていないかどうか?⇒重金属などによる栄養素の利用障害
患者様の状態によっては、毛髪ミネラル検査、有機酸検査、、IgGフードアレルギー検査、総合便検査、などの必要と思われる検査をお勧めすることがあります。また胃や腸、他の臓器などに問題がある場合は一度専門医を受診してもらうことがあります。
全ての検査結果を元に、治療方針を決定します。まず一番 大切なのは、生活習慣や食事指導を含めたカウンセリングになります。 あわせて、検査結果から個体差を把握します。単なるサプリメントの補給による栄養の過不足を整えるということだけではなく、腸内環境改善アプローチや重金属デトックスなど、栄養の消化、吸収、利用がスムースに行われるために根本原因にアプローチしていきます。
その後は2,3週間に一度(人によって多少異なりますが)来院していただきその都度必要なカウンセリングを行いフォローしていきます。また改善度を測るため3か月~半年くらいの間に血液検査を行うことをお勧めしています。
※サプリメントの処方においては、個体差による至適量(最適な栄養素の分量)の推察がとても重要です。個体差は個人の遺伝形質や代謝能力、検査の結果、生活習慣、 食事、過去にどんな病気をしたかなどを総合的に考慮して判断されます。