口腔の特徴
1. 消化器の一部である→腸の入り口であり腸管免疫の維持、向上には口腔内環境が重要
- 消化管は口から肛門までつながっている。
- 消化管の内腔は外部環境の延長線上で常に外界からの異物が侵入する危険にさらされている。
2. 呼吸器の一部である→口呼吸をやめて鼻呼吸の徹底
- 繊毛構造がなく脆弱
- 吸入抗原の暴露
3. 口腔内には細菌が生息している→清潔な口腔ケア
- 600~700種類、約1兆個の細菌が生息している。
- ほとんど無害の菌であるが6~8種類程が病原性をもつとされている。
歯周病とは
歯周組織に原発し、歯周組織を破壊し、その機能を損傷する病的ないし生理的反応をいいます。歯周疾患のほとんどが歯面上に沈着したプラーク細菌に由来する非特異的慢性炎症性病変でプラーク誘導性歯肉炎および成人性歯周炎が最も普通にみられます。歯周疾患は病巣の広がりによって歯肉炎と歯周炎に分類され、さらに急性型と慢性型に分類されますが多くは慢性型です。
1.歯肉炎とは
病巣が歯肉に限局した炎症を歯肉炎と呼びます。炎症性変化は歯間水平線維や歯根膜の歯槽頂線維を超えて波及していないもの。プラークに起因して通常慢性単純性歯肉炎(gingivitis chronica simplex)が発症し、これはプラーク誘導性歯肉炎ともいわれます。 プラークの増大とともに歯肉が炎症性に腫大して、歯肉溝の深化をもたらし、歯面との間に歯肉ポケット(仮性ポケット)が形成されます。ポケット内にはエナメル質表面に付着したプラーク(歯肉縁下プラーク)や歯石がみられます。
2. 歯周炎とは
炎症が歯肉を超えて根尖側へ広がり歯根膜や歯槽骨の破壊をきたした場合を歯周炎と呼びます。歯周炎の多くは中年期以降の大人に多くみられる成人性歯周炎で慢性に経過します。 歯肉炎にみられたうっ血、水腫、排膿症状に加え、病状の進行に伴い歯の弛緩動揺、疼痛、歯肉の退縮や歯根の露出を起こします。 歯周炎でみられるポケットを歯周ポケット(真性ポケット)と呼び、ポケット底はセメント・エナメル境より根尖測に位置し、接合上皮と歯の付着部はセメント質上にあります。 またポケット底が歯槽骨縁より歯冠頂側にある場合骨縁上ポケットと呼び、進行の遅い成人性歯周炎でみられます。一方急性進行性歯周炎や若年性歯周炎、あるいは咬合性外傷の場合、歯槽骨は垂直性に吸収され、ポケット低が歯槽骨縁より根尖側にされる場合があり、これを骨縁下ポケットと呼びます。
代表的な病原菌(歯周病菌)
- グラム陰性・嫌気性菌
- 混合感染症
- タンパク質分解酵素分泌
- リポ多糖などの内毒素分泌
歯周病が誘発する全身感染症
- 関節炎と骨粗鬆症
- 腎炎と糖尿病の増悪
- 高齢者の誤嚥性肺炎
- 皮膚炎(掌せき膿ほう症)
- 早流産と低体重児出産(8倍のリスク)
- 敗血症と細菌性心内膜炎
- 動脈硬化と虚血性心疾患
- 消化性潰瘍
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口腔ケアの重要性
- 歯周病は歯の喪失につながるだけでなく、歯周病原細菌や炎症を引き起こす物質が歯茎より血流を介して全身を巡ることで、身体に様々な影響を与える。
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歯周病は全身疾患
- 口腔内の健康なくして、健康なし!
積極的なオーソモレキュラー療法(栄養療法)によるアプローチ
歯周病の抑制にラクトフェリンとオリーブ葉エキス
ラクトフェリンの働き
- 免疫調整作用
- 抗菌・抗ウイルス作用→歯周病菌の増殖を抑制する働きがあることが報告されています!
- 腸内細菌層改善作用
オリーブ葉エキスの働き
- あらゆる感染症に対してこれまで発見された植物性抗生物質のうち最も予防や治療効果がある→歯周病、口内炎、カンジダ症、ヘルペス、副鼻腔炎、風邪、インフルエンザ、帯状疱疹、気管支炎、ピロリ菌などあらゆる感染症に有効
→病原体に対して直接的に殺す
→白血球を介した免疫機構によって殺菌
- ウイルス(細菌や真菌)を殺すがヒトの細胞にはダメージを与えない 安全な抗ウイルス剤
- 耐性菌を作らない
唾液の働き
・唾液による口腔内の自浄作用
・細菌の繁殖を防止し口臭・う蝕・歯周病を防ぎます。
・酵素であるアミラーゼがでんぷんを消化しやすくし、咀嚼とともに消化を助けます。
・再石灰化作用により歯の脱灰を修復しう蝕を予防します。
など
唾液分泌を促すためのオーソモレキュラー療法アプローチ
- よく噛んで食べること
- 十分な水分の摂取
- 唾液腺の石灰化の予防
↑
- コンドロイチン硫酸、グルコサミンの補給(唾液の成分)
- カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンKの補給(唾液腺の石灰化対策)
- ビタミンAの補給(唾液腺の分化正常化)
病巣感染と口呼吸の関係
★病巣感染って?
身体のどこかに限局した慢性炎症がありそれ自体はほとんど無症状かわずかな症状を 呈するにすぎないが、遠隔の臓器に反応性の器質的および機能的な2次感染を起こす現象です。
- 口呼吸がおこす負のスパイラル
- 口呼吸→免疫システムダウン→慢性炎症→病巣感染
口で呼吸することにより、歯肉や粘膜が乾燥し、細菌に対する抵抗性や唾液の自浄性が低下し、プラークが歯面に付着しやすくなり炎症が増加します。加えて喉には口蓋扁桃や舌扁桃、アデノイドなどの器官からなる扁桃リンパ組織があります。扁桃リンパ組織は病原体などに対する免疫の獲得や、免疫防御機構を持つ重要な部分です。 喉の炎症が慢性化すると、異物から身を守る最前線であったはずの扁桃リンパ組織はしだいに雑菌の温床になり、その結果全身の免疫系に異常を引き起こします。 アトピー性皮膚炎・関節リウマチ・掌蹠膿疱症などの関連が指摘されています。また皮膚や関節、腎臓など扁桃から離れた部位に二次感染として様々な病気を発症します。
口呼吸と関係する疾患
- 喘息をはじめとする呼吸器疾患
- 鼻炎、花粉症、化学物質過敏症といったアレルギー疾患
- アトピー性皮膚炎、乾癬、掌せき膿ほう症などの皮膚疾患
- 関節リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患
- 過敏性腸症候群、うつ病、パニック障害といった精神疾患
など
口呼吸チェックリスト
一つでも当てはまるものがあったら口呼吸をしている可能性があります。
★口呼吸をしていて習慣になっていると本人が自覚していないことがあります。
★特に睡眠時の口呼吸は自覚していないことがほとんどです。
□ いつも口をあけている
□ 口臭が強い
□ 朝起きたときに口がカラカラ、喉がヒリヒリする
□ イビキをかく
□ タバコをすっている
□ 激しいスポーツをしている
□ 歯並びが悪い
□ 唇がよく乾く
□ 食べるときにクチャクチャ音を立てる
□ おしゃべりである
□ 口を閉じるとあごにウメボシ状のシワができる
口呼吸の子供の特徴的な口元