悪性腫瘍と栄養
悪性腫瘍と栄養について最近読んだ本にこんなことが書いてありました。
担がん宿主は食欲不振や通過障害、代謝異常などによる栄養障害がほとんどの症例に見られる。
これはQOLの低下にとどまらず治療成績にも大変な悪影響を及ぼすことになる。
臨床家のいうところのがん悪液質とは進行ガンによる極端な栄養欠損状態を総称したものと理解してほしい。
臨床の現場では生化学的なマーカーの重要性はよく理解されていることとは思うが、中には脱水や貧血、低タンパク血症が見逃されてるケースも決してないとはいえない。
ガン患者はガンで死ぬのではなく栄養欠損で死に至るといっても決して過言ではない。
とくに標準治療法では全て極めて侵襲性が強いことから担ガン宿主の栄養状態が成否の鍵を握っているといっても過言ではない。
実は私も今年の4月祖父を亡くしました。
祖父は肺がんでしたが、やはり最期は食欲不振や利尿剤の過剰使用、さらには水分摂取制限による脱水、体重減少。
そして免疫異常やうつ症状の合併を目の当たりにしました。
しかし保険内の治療ではブドウ糖液の点滴のみで見る見るうちに体重減少し、歩けなくなり、昏睡し死を迎えました。
臨床の場ではよく末期がん患者に対し高カロリー輸液を用いられることがありますが、
腫瘍組織では正常組織の6倍以上の糖の取り込がみられることや過剰な糖質の補給がエネルギーに代謝されるには大変困難な状況にあります。
ビタミンB群の相対的欠損によりTCAサイクルの抑制から、グルコースは解糖段階で乳酸を大量に発生させ乳酸アシドーシスおよびビタミンB1の欠乏による神経症状の出現をみることが多々あります。
また貧血にしてもカロリー確保で改善できるわけではなく体タンパクの異化亢進に対して
充分なタンパク補給が考慮されるべきなのです。
私もガン患者さんにおける栄養補給の必要性を目の当たりにしました。
その気持ちをむねにさらに分子整合栄養医学への勉強する志しが高まります。