心配性は単なる性格の問題か?!
心配性は単なる性格か?
分子栄養学に出会うまえ私自身かなりの「心配性」でした。当初は元々の生まれ持った性格かと思っていましたしが、実はこの「心配性」は栄養素が密接に関係しています。この「心配性」度が過ぎると病的に「心配症」になっている人も少なくありません。
「心配性」はささいなことまで気にかかってしまい、心配してしまう、または不安を感じる性格をさしています。日本というお国柄、災害が多い土地に住む私たちにとって必ずしも、何でもかんでも楽観するのは、命の存続に関わることかもしれません。
まだ起きてはいないことを想定して対策を練り対処するのは日本国民として持ち合わすべき重要な素質です。東日本大震災のように予期しない事、未曾有のことに対して、想定外のことは大惨事を招き被害が拡大してしまったのは、記憶に新しいことです。
話は変わって、親が我が子に対して「心配」する気持ちも十分に理解できます。この場合「心配」=「愛情」という方程式は、成り立つでしょう。親心というのは、なるべく子供に安全・安定した道を歩ませたいし、リスクがあるようなことはやってほしくないものでしょう。ただ時に親の心配性が度を過ぎると、なにかに挑戦したい我が子の可能性の芽をつむようなことになってしまうかもしれません。また子供が経験すべき失敗を先周りして、手をさし伸ばしたところで、結果的に知らずに子供の成長の機会を奪うことになっているかもしれません。
「可愛い子には旅をさせろ」とはよく言ったもので、「愛情」=「心配」の気持ちはよくわかりますが「愛情」=「見守る」という方程式も取り入れていきたいものです。
私が今回このテーマについて書いている理由は、親御さんがお子さんの体調不良について、来院されるケースに、思うところがあるからです。
栄養療法をはじめて色んな方へのアドバイスを時間をかけてさせていただく中で、親子の関わりに何パターンかの傾向性がみえます。
1.「大丈夫!」と楽観して子供を励ます親。もしくは腹をくくりすべてを受け入れる親。
2.「大丈夫?」と心配そうに子供、本人以上に子供を心配する親
どちらのお子さんの体調の回復が早いかというと、圧倒的に物事をポジティブに捉え、子供の生き抜く力を信じ、応援、励ます親です。
どちらの親御さんもお子さんへの愛情の尺度に優劣やいい悪いはありませんが、一つの物事への捉え方や思考性が少なからず、お子さんへ影響を与えていることは間違いありません。
自分が2番目に当てはまるという方は、お子さんの治療の前に自分自身が、栄養血液解析を受けてみる必要があるかもしれません。実はここに脳神経伝達物質のアンバランスが関わっています。これは単なる性格ではありません。
おそらく遺伝的に心配性の親のまたそのどちらかの親は心配性や神経症の可能性が高いかもしれません。ある意味遺伝的な要因も大きいと思います。「心配性」ですむレベルか病的レベルは神経伝達物質のアンバランスに後天的な環境要因の血糖値の乱高下や生活習慣、またストレスが関わるとある一線を越えてしまうかもしれないのです。
前置きは非常に長くなってしまいましたが、以前の私も含め「心配性」の方の多くには特異的な栄養素のアンバランスがあります。
神経伝達物質としてドーパミンとノルアドレナリンのバランスが悪いことが疑われます。ここに栄養素のミネラルが密接に関係しています。
ドーパミン→ノルアドレナリンへの代謝にはビタミンCや銅などが関わっています。銅が多いとドーパミンからノルアドレナリンへの代謝が進み相対的にノルアドレナリンの量が多くなってしまいます。ノルアドレナリンは適度にある分には学習や記憶・集中力を高めます。
しかし過剰にあると不安や気分の落ち込みなどが起きてきて、情緒に影響を与えます。このバランスを整えるのに亜鉛が密接に関係しています。亜鉛は過剰な銅のバランスを整え、結果的にドーパミンとノルアドレナリンの量を整えてくれるのです。
ドーパミン・ノルアドレナリンのバランスに関しては決して亜鉛だけの要素ではありませんが、今日は銅・亜鉛についてフォーカスしてお話ししています。
「心配性」が度が過ぎている人は銅と亜鉛のバランスが悪いことが多く、亜鉛が正常値より低いか、もしくは銅が正常値より過剰になっているか。亜鉛については「亜鉛の重要性」の過去のブログに書いてありますので、こちらをご覧ください。
以前は心配性だった私も実はこの血清銅と亜鉛のバランスが非常に悪く重度の亜鉛欠乏でした。思い返せば私の祖母も度が過ぎた「心配性」で心配性にまつわるエピソードは子供の頃から色々聞いたことを今思い出すと、面白いものです。
「亜鉛不足」=「味覚障害」という認識は世の中にわりと認知されていることだと思いますが、当院で口腔クリニックとしての診察の中で、本人が自覚する味覚障害はかなり重度にならないとわからないという感覚があります。自分が味覚がおかしいな?と気づく前に、亜鉛不足の人の味覚は少ししょっぱく感じてみたり、薄く感じてみたり実は水面下ではいろんな現象が起きているのですが症状は徐々に進むため本人はそのことに気づきづらいのです。
この銅と亜鉛のバランスの悪さに、糖質過剰やストレス、アルコール摂取などによるビタミンB群不足が加わったり、鉄欠乏性貧血が加わったり、血糖値の乱高下、メチレーション の異常な要素により症状の出方や重症度に多様性が出てきます。
心配性の方は当院での栄養療法のアドバイスの結果を必ず帰宅後ネット検索して、ネガティブな情報のみを受け取り、治療がスムースに進まな場合も多々ありますが、親子関係においてこの「心配性」はあまり事を良い方向へは向かわせないのです。
私自身2人の子育てをしていて、もともと心配性の気質がありますが、子供の健康や未来、生き抜く力を信じ見守る姿勢を日々試行錯誤しながら奮闘しておりますが、銅と亜鉛のバランスが整ってからはかなり、まずは私自身が楽になった感覚があります。得体の知れない不安感から解放され、生きやすくなりました。
また個体差が大きいミネラルですので、自己判断でのサプリメントの摂取はオススメできません。必ず専門医にご相談ください。思い当たる人はまずはご自身の栄養状態をチェックしてみてはいかがでしょうか?