基礎代謝アップの食事法
今日は基礎代謝アップに関係が深い、甲状腺機能のお話をします。甲状腺機能アップすることで、基礎代謝を高めることができます。
前回まで、エネルギー不足になる食事法(ファスティング、空腹時間が長い、欠食など)このようなことが、身体にエネルギー不足を招き、基礎代謝を低下させ、特に女性において甲状腺機能低下するというお話をいたしました。
更には、脳下垂体にまで影響し、他のホルモンにまで影響があるという事を、なんとなく理解していただけたのではないかと思います。
今日は、実際に甲状腺機能アップをして、基礎代謝アップ、そして太りにくい体作りにつながる体質改善の食事法のお話をしていきたいと思います。
まず、キーワードは「エネルギー不足を解消する」です。
基礎代謝が低下する原因の一つは身体がエネルギー消費に見合ったエネルギー補給が出来ていないこと原因です。つまり、少食、空腹時間が長い、欠食、このようなことはすべてエネルギー消費を抑えて、そして最低限の基礎代謝に抑えようと、身体が反応して防御反応的に起こっている結果です。
動物の冬眠を思い浮かべていただきたいのですが、餌がないところでは、冬の間じっと巣にこもり、活動的ではなく、少ないエネルギー量・食事で生きのびるというのがイメージできると思います。
人間も実は、知らないところでエネルギー不足になると、基礎代謝を低下させていきます。
残念ながら、なかなか体感には、はじめは感じにくく、かなり進行した状態で色々な不調や今回のテーマである「痩せにくい」・「食べると太る」という症状が出て、ようやく甲状腺機能低下と診断される方もいらっしゃるかと思います。多くの方はそこに気付かずに、また繰り返しダイエットのスパイラルから抜け出せない、または慢性的な不調が起こり、「年のせい」や「更年期障害」とあきらめモードになっている方も非常に多いのです。
では、その対策は
1、エネルギー不足を解消する
エネルギーが足りないからと言って、一度に沢山のカロリーのある食事をとれば良いというわけではありません。食べ貯めはできないのです。一度に多くのエネルギー補給をした場合、血糖値が上昇し、そして余分なものは脂肪として貯蔵されるのです。
ですので、一度に多く、エネルギー補給をするというのは決してよくありません。ポイントは小まめに血糖値を急上昇しない範囲でエネルギー補給をしていくという事です。
つまり、分食やスープなどをちょびちょび飲み食いしていただくという事が非常に重要です。特に糖尿病や糖尿病家系の方は1日3食で食べようという事を行うと、どうしても食事による食後高血糖を起こしやすく、そのためインスリン分泌により、血糖値の急下降で様々な不調や、また食後高血糖により当然太ってくるという事が起こります。
ですので、1度の食事量を腹八分目くらいにし、そして、それを1日3食ではなく、1日5食、6食に小分けにして食べていただくのが一つのポイントかと思います。
なかなか、忙しくて小分けにして食べることが出来ない方は、補食としてゆで卵1つを食べたり、またはボーンブロススープやポタージュをちょびちょび飲んでいただいたり、もしくは、はちみつレモンティーのようなかたちで少しずつエネルギー補給をしていただくと良いでしょう。ポイントは、はちみつや糖類を摂る場合は、一度にたくさんの量はNGです。あくまでも少量を頻回に摂るというのが重要なポイントになります。
2、鉄不足・亜鉛不足などのミネラル不足を解消する。
甲状腺ホルモンをつくり、うまく体の中ではたらかせるには、鉄・亜鉛・セレン特にこのようなミネラルが必要になります。そのため、鉄不足がある鉄欠乏性貧血がある方は、必然的に甲状腺機能の低下がおこってくることが多いのです。
月経のある女性(特に月経過多)、子宮筋腫、子宮内膜症などの婦人科疾患をお持ちの方においては、どうしても鉄の喪失が多く、また需要が間に合わないという事から、慢性的な鉄不足が起こり、更には甲状腺機能低下をもたらしてしまいます。そのため、そのような症状をお持ちの方は、場合によっては、少しサプリメントなどで補ってあげることで、甲状腺ホルモンが作りやすくなります。
またアミノ酸も甲状腺ホルモンの材料になりますから、たんぱく質の補給も忘れてはいけません。
3、ストレスケアをする
身体の中で活性をもつ甲状腺ホルモンをFT3と言います。
この活性を持つホルモンをうまく作り、働かせるためには、今までお話したとおり、
・飢餓はNG
・糖質制限NG
・ミネラル不足NG
つまりエネルギー不足がNGという事になります。
加えて、ストレスが過剰にあり、副腎から沢山のコルチゾールが分泌されているときにも、実は甲状腺機能は低下してきます。
そのため、過剰なストレスがある環境から離れる、ゆったりと休息をとることが非常に重要になります。
なかなか、お仕事をしていたりや子育てのストレスのある方は、環境を変えるという事は難しいかと思いますが、
・少し長くお風呂に入る
・マッサージに行く
・少し睡眠時間を長くとる
・ハーブティーを飲む
など、できる限りご自身のストレスケアに取り組んでいただくことも重要です。
4、甲状腺機能と冷え対策
甲状腺機能が低下すると、代謝が低下し、冷えが起きてきます。冷えが非常につらいという方は、単なる鉄欠乏からくる鉄欠乏性貧血のみならず、背景には甲状腺機能低下があるかもしれません。
甲状腺機能低下の人の特徴は、沖縄やハワイなど温かい地域に行った時に体調が良くなり、北海道など寒い地域、寒い季節(秋から冬にかけて)などに体調が悪くなる方が非常に多いのです。
・薄着
・お風呂はシャワーのみ
・冷たい飲み物やアイスなどをよく好んで食べる
などという生活習慣はマイナスになり、症状を悪化させます。なるべく体を温め、身体の基礎体温をあげることが大事です。
これからの季節はレッグウォーマーやホッカイロなどを使用したり、特に首元にはネックウォーマーを利用したり、場合によっては温熱器などを使って体を温めたり、水ではなく少し温めた白湯を飲んでいただくことも重要かと思います。
身体を温めるという事は、非常に色々な効果がうたわれていますが、ひとつには甲状腺機能アップさせるにも重要です。
どうでしたでしょうか。
皆さんは、甲状腺機能アップさせる生活習慣or甲状腺機能低下を助長させる生活習慣どちらかにあてはまっていたでしょうか。
まずはできるところから取り組んでいただき、場合によっては体調不良を感じていたり、痩せにくいと悩んでいたりする方は一度、病院で甲状腺機能を測っていただくことをお勧めします。
ただし、保健医療では基準値が広く、なかなか異常と判断されることがありません。あくまでも、分子栄養医学の基準値を参考に考えていただければと思います。