私たちは食べたものでできている

診察をしていると若い女の子たちが本当に栄養不足を通り越して栄養失調になっていることに驚かされます。近年少子化が社会問題として大きく騒がれていますが、その理由に晩婚化や女性の社会進出、保育施設の不足なども理由にあげられていますが、栄養療法的にみると本当に健康的に妊娠できる女性の割合が減ってきているように感じます。それは結婚が遅くなって高齢妊娠になってしまったということもあるかもしれませんが、すでに若い妊娠適齢期やそれ以前の女性、男性が子供を持ちずらい体になってしまっているということです。そもそも基本に戻って私たちは「従属栄養生物」つまり食べてエネルギーを得ないと死んでしまう生き物である。ということを忘れてしまっているかのようにまで感じます。
生物は「独立栄養生物」と「従属栄養生物」があります。

独立栄養生物とは簡単に言えば植物です。植物は「自分で栄養やエネルギーを作り出せる生き物」なんです。太陽からの光で光合成をおこない水と二酸化炭素でブドウ糖を作ります。ところが人間は光にあったって水と酸素だけ与えられても生きていくことはできないんですね。植物が作り出したブドウ糖を食べてエネルギーにしている。つまり「自分で栄養やエネルギーを作り出せない生き物」なんです。

少し難しく書きましたが、要は食べないと死んでしまう。私たちは食べたものから体ができている。と言いたいだけなんです。にもかかわらず特に若い女の子が本当に食事を食べていない。朝昼夜、3食まともに食べている人を本当に見かけません。糖質制限やMEC食(お肉・卵・チーズ食)・マクロビ・玄米・断食などなど色んな健康法がマスコミに取り上げられていますが、まず基本中の基本は「食べる」ということです。朝抜き・昼抜きで合間にコーヒーやおやつ、菓子パン、カップヌードルではどうやって体はエネルギーを作り出していけばいいのでしょうか?本当にこういう食生活をしている若者が多すぎて将来に危機感を覚えます。

また「個体差を知る」ということは分子栄養学の基本中の基本の概念です。自分は糖質制限をできる体なのか?ファスティング(断食)をできる状態なのか?マクロビをやり続けてもいいのか?他の人にはその健康法はあっていたかもしれないけれど自分には合っているのか?やはり情報だけに惑わされず一度、分子栄養学に基づいた血液検査を受けてみるのがベストです。

副腎疲労や低血糖症(血糖調節異常)の方が自己判断で糖質制限やファステイングをするのは大変危険です。また胃腸環境の良くない方、胃酸の分泌が不足している方はやはりMEC(肉・卵・チーズ)食のようなタンパク質強化食を摂り続けることもかえって体調を壊したり、回復を遠回り
させてしまいます。また貧血やその他のミネラル不足の人がマクロビ食をつづけることも、さらなるミネラル不足に拍車がかかり低たんぱくに陥ってしまうでしょう。

顔や身長が違いように私たちの身体の代謝も遺伝的・環境因子により大きく左右されます。同じ人であったとしてもストレスがかかっている時、リラックスしている時では全く違います。玄米・菜食が1番の健康法だと信じてやまない人も多く見かけます。しかし私たち人間はそもそも進化の過程をみれば雑食・肉食動物なのです。日本でも農耕文化が始まったのは弥生時代と言われていますが、その前の縄文時代は移動式で実に色んなものを食べていました。縄文時代の貝塚と呼ばれる当時のごみ捨て場からは、イノシシ・シカ・ツキノワグマなどの哺乳類やキジ・カモ・ハトといった鳥類、その他ハチュウ類や魚。またハマグリやアコヤガイなどの貝も多く発見されています。人間は決して植物性のものだけを摂取して進化してきたわけではないということです。

また草食動物と人間は消化器のシステムが異なっています。

草食動物はバクテリア発酵タンクをかかえた動物のことです。ウシには4つの胃袋がありそこでなんども草のセルロースを反芻しています。反芻することは発酵を行うためのものです。ウシは盛んに草をたべますが胃袋の中にいるバクテリアのために食べているといってもいいかもしれません。そしてこのバクテリアがすべてのアミノ酸(タンパク質)を合成します。またウサギやネズミ、コアラなどは「糞食」です。これらの動物は盲腸で発酵させて、盲腸から出てくる糞を食べます。その理由は発酵していたバクテリアを回収して、バクテリアの作ったタンパク質を消化してアミノ酸を吸収するからです。

ところが人間は反芻する胃袋や自分の便を食べることはないわけです。(笑)
つまり草食動物と決定的に違うところは彼らタンパク質を摂取しなくても自前でタンパク質を補給することができているのです。一方人間はそんな機能を持ち合わせていないわけですからやはりそとから必要なタンパク質(アミノ酸)を補う必要があるわけです。そしてその必要なアミノ酸やその他ビタミン・ミネラルの多くは圧倒的に動物性のものに含まれているのです。

タンパク質の重要性には以前のブログでも取り上げていますが、やはり人間にとって一番重要な栄養素はタンパク質なのです。その重要なタンパク質をいかに体に取り込んでいくか?というところに個体差が影響してくるんですね。みんなが肉をモリモリ食べられるわけじゃない。ってことです。そしてそこで分子栄養学の出番なんですね。個体差をまず把握する。そして個々に合った栄養補給を考えていくわけです。どうか育ち盛りの子供たちや妊娠適齢期の若い男女、中高年の方々、どの年代にもしっかりと自分の体の状態を把握してまずは3食たべましょう!