驚異のグルタミンパワー
今日は「グルタミン」についてお話していきたいと思います。「グルタミン」は体内(特に筋肉)に多く含まれるアミノ酸(糖原性アミノ酸)で多彩な生理機能を持ちますが、体内で合成されることから非必須アミノ酸に分類されます。しかしストレス・運動などにより需要が高まり、生合成では補うことが出来なくなるため、準必須アミノ酸と呼ばれています。
グルタミンの働き
①ストレスにより需要が亢進します。
ストレスにより体がダメージを受けると、体内のグルタミンの濃度が低下してきます。そのため筋肉中のグルタミンが放出され血液を介して各臓器に運ばれ創傷治癒の促進・細胞の感染抵抗性・消化管機能の維持に使われます。したがってストレスを受けた時には十分補給する必要があります。
②腸管にとって重要なエネルギー源
小腸吸収細胞の主要なエネルギー源です。また大腸粘膜の2番目のエネルギー源でもあります。消化器粘膜の上皮をつくり腸内環境を整えます。また腸でナトリウムと水分の吸収促進させるため、下痢や軟便の方には大変有効です。また栄養素の腸管吸収を助けます。
③免疫に深く関与
免疫機能に深く関与し以下のような作用が期待できます。
□リンパ球の増殖
□マクロファージ、好中球の活発化
□IgA抗体の産生
□自己免疫疾患における過剰免疫の抑制
上記の理由などにより感染症や火傷、外科手術などによる外傷がある時グルタミンが免疫機能を高めてくれます。またグルタミンは摂りすぎてもすぐにエネルギー源として代謝されるので安全です。
④筋肉強化
グルタミンは筋肉の低下を予防します。このアミノ酸は糖を貯蔵する筋肉の能力を高め筋肉の退化を防ぎます。グルタミンは運動により生じる筋肉痛や筋肉疲労を和らげます。長く激しい運動のあとの筋肉通を最小限に抑えられます。BCAA(アミノ酸)と一緒に摂るとより効果的です。
⑤抗酸化物質グルタチオンの成分
グルタチオンは強力な抗酸化物質で活性酸素を消去します。したがってグルタチオンが不足すると老化を早め癌に罹患しやすくなります。グルタチオンは体内でグルタミン酸+システイン+グリシンが結合したペプチドです。高齢者は不足しやすいアミノ酸なのでグルタミンはシステインと同時に摂ると効果的です。
⑥食品のアレルギーを予防
②の部分と少しかぶりますが、グルタミンは腸内環境を整え、腸の内壁を作る粘膜細胞を再生し、腸の粘膜を整えるためアレルギー反応の原因となる食品の吸収を制限します。腸の透過性が高まると消化しきれないタンパク質が大量に吸収されるためアレルギーが発症しやすくなります。IgG抗体による食品アレルギー検査で多数の食品の項目に反応している人、また慢性疾患を持っている方などは腸の透過性の亢進(リーキーガットシンドローム)との関係が深く、この治療にもグルタミンは非常に有効です。
⑦アルコールの分解
グルタミンやアラニンはエネルギー源となるアミノ酸です。アルコールが分解される過程で作られるNADHを消費するため、肝臓での分解反応がスムーズに進むと言われています。グルタミンは肝臓でのアルコール分解効率を上げ二日酔いの回復に役立ちます。
などグルタミンはかなりの多種多様な働きがあります。
□胃腸の働きが弱い人(下痢しやすい・軟便の方)
□風邪をひきやすい人
□ストレスが多い人
□術前・術後の方
□筋肉を鍛えている方
□スポーツをしている方
□お年を召した方
には是非積極的に摂ってうただきたいです。
また逆に以下の人は摂取は控えてください。
□便秘の方
□自閉症の方
□肝不全の方
□腎不全の方
には禁忌です。
水分の吸収を腸で促進するためより便秘になりやすくなります。またグルタミン→グルタミン酸→GABAの代謝経路で自閉症の方はグルタミン酸→GABAへの代謝がうまく進まないためグルタミン酸がたまりアンモニアが多くなってしまいます。
いずれにしても自己判断でのサプリメントの摂取は場合によっては大変危険ですので栄養療法専門医に相談は必須です。また血液データや毛髪ミネラル検査、有機酸検査などから腸内環境を推測することができます。