骨粗鬆症を考える

ゴールデンウイークで子供たちも休みで、毎日慌ただしい日々がようやく終わりました。日々のペースを取り戻しつつあります。

私の近況といえばGW前にごく近しい身内の女性が転んで股関節骨折してしまい、股関節にボルトを3本入れて固定する手術を受け全治1か月の大けがを負ってしまいました。というわけで今回は骨折にまつわる「骨粗鬆症」について少し書いてみたいと思います。ある程度高齢になってくると誰でも骨折が命取りになると恐れているのではないかと思います。骨折を機に長い間寝たきりになってしまい、筋力が落ち歩けなくなる、弱る、という連想は誰もが想像します。これを「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」といいます。

「ロコモティブシンドローム」とは運動器(筋肉・骨・関節・椎間板など)の障害のため移動機能の低下した状態を指し、日常生活に支障が出てき要介護になるリスクが非常に高くなります。特にもともと筋肉の少ない、または骨粗鬆症になりやすい女性に多く、また平均寿命も男性より長い女性ですが、実際には寿命を全うするまでの10年余りの間は要介護になってしまうリスクも非常に高いのです。

誰もが健康寿命を全うしたいし、子供や周りのお世話にはなりたくないしピンピンコロリを望んでいるはずですが、人生は何が起きるかわからないし、死にたくても死ねない。人間はやはり生かされていると感じます。

実は今回股関節骨折をしてしまった彼女も誰よりもそう願い、健康のために毎日ジム通いでヨガや運動を毎日欠かさずやってきました。夏には家の庭で畑仕事をし無農薬野菜をつくり、まさに今年も意気込んで耕運機を買った矢先の出来事で本人は失意のどん底になってしまいました。

彼女の入院直後の血液データを見させてもらったところ、中性脂肪は200近いのに総コレステロールは167という値。68歳の閉経している年齢なら本来もっとコレステロールは高くなければおかしいです。聞けば毎日お昼ごはんがわりにおやつをもって、一緒にジムに通っているお友達と饅頭やら甘いものを食べていたそう。そもそも野菜メインのおかずで肉を食べたら太るという間違った概念を今も持ち続けており、ご主人は糖尿病予備軍だったため厳重なカロリー制限の食事を長年やってきたそうです。何度か私も仕事柄、会うたびに正しい食生活の話をしてきましたが、昔どっかで得た間違った先入観はちょっとやそっとで揺らぐわけもなくこの食生活を続けていました。

前置きが長くなりましたが、こんな老夫婦はこの方たちに限ったことではなく、ごく一般的な老夫婦の食生活なのかもしれません。この方が股関節を骨折するまでいくつかの前段階の症状はありました。

指の関節が痛いということでリウマチの検査をしましたが異常なし。また長年にわたる高血圧。ということからみてもカルシウムとマグネシウムの不足がありそうでした。カルシウムが血中に不足するとカルシウムパラドックスが起こり骨からカルシウムが溶け出しあらゆる臓器に沈着します。肩であれば五十肩ですし、腎臓であれば腎結石、指の関節にたまれば関節痛を引き起こします。

また血管の収縮もカルシウムとマグネシウムが関与しています。普通はカルシウムイオンが細胞に入ると血管(特に静脈)は縮み、カルシウムオインが細胞の外に出ると元に戻ります、血中にカルシウムイオンが不足してくると細胞はカルシウムイオンチャネルを全部開けてカルシウムイオンをなるべく多く細胞の中に取り込もうとします。ところがカルシウムイオンポンプで外にだす出口は1つなので細胞の中で渋滞が起きます。その結果常に血管が常に収縮してしまい高血圧になってしまいます。高血圧が起こるメカニズムはこれだけではありませんが、やはりカルシウムやマグネシウムの生体内バランスが崩れていることが推測できます。

こうカルシウムのこと書くとすぐに牛乳を沢山飲みたくなる気になるかもしれませんが、ここで重要なのはマグネシウムです。牛乳はカルシウムとマグネシウムのバランスがあまりよろしくありません。マグネシウムはカルシウムとブラザーイオンとも言われ細胞のカルシウムの出入りのゲートキーパーをしています。マグネシウムは日常からもなかなか摂取しずらくまたストレスがかかると容易に枯渇してしまうミネラルです。
マグネシウムについては以前「マグネシウムの重要性」で詳しく触れているのでそちらもご覧ください。

また閉経後の女性は女性ホルモンの一つのエストロゲンの分泌が低下し骨の吸収と形成の連携が乱され、破骨細胞の作用が異常に亢進するため骨量が減少してきます。閉経後の女性に骨粗鬆症が多くなるのはここにも原因があります。

またもちろん総コレステロールが167ということで胆汁もしっかり作られずお肉や油物を食べたら胃腸の調子が悪いということでますます食べなくなるという、よく陥りがちな負のスパイラルに入っています。またコレステロールを原料にビタミンDも作られますからもちろん骨や免疫、ホルモンもだめになってきます。

ようやく骨の話になりますが、
そもそも骨は無機成分、ミネラル(主にリン酸カルシウム)70%・有機成分(主にコラーゲン)20%・水分10%からできています。おさらいですがコラーゲンはタンパク質・ビタミンC・鉄を原料にできています。
以下の図を見てください。

このイラストを見てもらえるとコラーゲンつまりタンパク質がいかに大切かということをわかっていただけると思います。
コラーゲン不足はもちろん骨だけではなく女性の大敵の肌のはりやシワにも大いに関係しています。

骨を丈夫にするにはまずタンパク質(アミノ酸)!それから鉄・ビタミンC・ビタミンD・カルシウム・マグネシウム・ビタミンK・亜鉛などが必要になってきます。そしてタンパク質を食べられる胃腸機能です。そして日に当たり適度に骨にも負荷をかけるための運動も必要ですね。

こういう方には小池先生おすすめの骨付きスープですね。
とっても肉を消化できないでしょうし、まずはスープからです。
先日半年間真面目に栄養療法に取り組んでいただいている40代女性の患者様が「今までは骨粗鬆症レベルが100歳と言われてましたが、70歳レベルにまでなったんです。」と喜んでおしゃってました。地道な毎日の食生活の改善がしっかりと結果を生み出しています。その方にももちろん低血糖症の治療もかねてスープを飲んでもらっていました。

栄養療法を仕事として始めて、一番の強敵は身内だとつくづく実感していますが、食生活・生活習慣を改善してもらってまた元の元気な生活に戻って欲しいですね。