しょっぱいものが無性に食べたい本当の理由
今日はしょっぱいものが無性に食べたい本当の理由について書いてみたいと思います。
しょっぱいものが好き、辛いものが好き、甘いものが好き、コーヒーや紅茶が好き、
どれも単なる嗜好性の問題ではないということがよくあります。
体の異常からくる嗜好性の偏りというのはよくあります。
今回は「しょっぱいものが好き」について詳しくお話ししますが
甘いものやコーヒーなどのカフェイン飲料などを欲する体のお話については、
以前のブログ「カフェイン・スイーツ依存症にマスクされてるものとは?」で詳しく書いていますのでそちらをご参照ください。
「しょっぱいもの」と一言でいっても色んな食べ物があり、そもそも自分がしょっぱいものを欲していることにすら、気づいていない方は沢山います。
一例をあげてみますが、
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- 必ずお漬物が食べたい
- ラーメンを汁まで全部飲み干してしまう
- 辛いカレーが好きだ
- ポテトチップスやお煎餅などが食べたくなる
- 何かを食べるときに塩を追加でかけてしまう
などなど
これらはほんの一例に過ぎません。
私は当院に来院されたほとんどの方に「塩分への欲求はありますか?」という質問をします。
なぜなら副腎疲労と言われる「疲労系疾患」つまり「とにかく疲れている」「寝ても疲れがとれない」「朝起きられない」などという訴えをお持ちの多くが、体が塩分を欲していることがよくあるからです。
世間では相変わらずの減塩ブームで「塩」そのものが悪者扱いされていますが、決して塩を摂らなければ健康かというと全くそうではありません。
「塩分」=「高血圧」という方程式がいつの間にか世に知れわたっていますが、日本人の場合そもそも塩分が高血圧に関係している方というのは、本態性高血圧つまり原因不明の高血圧と言われている方の中の4分の1くらいしかいないというのが現状です。
高血圧になる原因は、カルシウムやマグネシウムのミネラルバランスの問題やミトコンドリアのエネルギー不足などなど要因はありますが、今回はその内容につきましては、割愛してまた別の機会にその辺も書いてみようと思います。
江戸時代では「塩抜き」という極刑があったと書物に記されておりますが、人間から完全に塩抜きをしてしまうと1週間もたたないうちにヘナヘナに元気がでなくなってきます。
しかし塩と一言でいってもここ最近では色んな種類の塩が店頭に並んでいますが、食卓塩と言われる精製塩は塩もどきといっても過言ではないくらい、本来の海の成分の塩とはかけはなれた栄養成分になっております。
やはり海から作った塩は何といってもミネラルが豊富で、単なるナトリウム(NA)成分だけでなく、マグネシウム(Mg)をはじめとした微量ミネラルが豊富に含まれていますので、良質なミネラル豊富な塩を調味料として変えるだけでも栄養成分は変わってきます。
特にぬちまーすとういう沖縄の塩は突出してマグネシウムをはじめ微量ミネラルを豊富にふくんでおりオススメです。
ここでもう少し詳しく「副腎疲労」と言われるいつも疲れた状態の方が、なぜ塩分への欲求が強まるかについて書いてみたいと思います。
ここからの生体システムにご興味がない方はここからは読み飛ばしてもらっても結構です。結果どうすればよいのかというところをお読みください。
そもそも副腎疲労の方は皆さん共通してストレスにさらされています。
それは長期的に乱れた食生活や生活習慣であったり、職場や家庭での精神的なストレスなど様々です。
また短期的であっても肉親の死などの強烈なストレスは副腎疲労の引き金になります。
腎臓の重要なシステムに「レニン・アンジオテンシン系」というシステムがあります。
私たちの祖先は約3億年前に、海から陸に上陸したという進化論があります。
その時に腎臓に体内を海水と同じ成分に保つようなシステムが作られたと言われています。
腎臓は血液のろ過により体内の水分とナトリウム(塩分)のバランスが一定になるように調節しています。
体内の水分や塩分が足りないと、腎臓からレニンという酵素を放出し、血中のアンジオテンシンや副腎のアルデステロンというホルモンを活性化して血管を収縮させ、塩分の吸収を促します。
逆に体内の塩分が多いと、レニンの分泌を抑制し、汗や尿として塩分を体外に排出させます。
アルデステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンの一種で腎臓に働きかけ水とナトリウムを体内に貯留し血圧をあげるホルモンです。
コルチゾールもまたアルデステロンの働きを持っています。
このようなナトリウムやカリウムなどのミネラルの動きはなかなか血液検査では読み取れません。
ホメオスターシスという恒常性機能が働き血中のミネラルはある程度一定になるように厳重に管理されているからです。
しかし毛髪ミネラル検査では毛髪のナトリウム、カリウムなどからこの「レニン・アルデステロン系」の働きや甲状腺の働きを推測して読み取ることができます。
Aのようなストレスがかかっているような状態では、高アルデステロン→高ナトリウム→その結果毛髪ミネラル検査ではナトリウムが多く検出されます。
また血管収縮作用もアルデステロンにあるため高血圧という傾向性がでてきます。
しかし副腎疲労と言われる方々で塩分への欲求が強い方々はすでにこの時期を通り越して、もはやアルデステロン分泌やコルチゾールといったストレスに対抗するホルモンが出せない状態にまで陥っています。
そのため低アルデステロン→低ナトリウム→この結果毛髪ミネラル検査ではナトリウムの検出が低くなります。
また血圧が上げられないため低血圧になります。
塩分への欲求は身体の生体防御としての自然なメカニズムで起きているのです。
栄養療法で食事指導や生活習慣の改善などをして副腎ケアをしてあげると改善してくるのに従って、塩分への欲求は薄れていきます。
まずは朝にぬるま湯に「ぬちまーす」を一つまみに、レモン汁を絞ったものを飲んでもらうと、疲弊している人ほどとても美味しく感じます。
塩は化学式でNaClと書きます。この塩化ナトリウムは体内に入るとナトリウムイオンと塩素イオンに分かれます。どちらも消化を助け、新陳代謝を促す働きがあります。 ナトリウムイオンには次のような働きがあります。
- 神経や筋肉を正常に機能させ、不足すると筋肉が吊ったり痙攣をおこします。
- 消化機能の助けになり、不足すると食欲不振、全身のだるさがおこります。
- アルカリ性であるナトリウムイオンには血液を酸性になるのを防ぐ重要な役割があります。
塩素イオンの働きは
- 胃酸を作ります。胃酸は化学式でHClと書きますが、塩素イオンが胃酸には必要不可欠なのです。不足すると消化不良や食欲不振が起きます。
- 体液の浸透圧のバランスを保ちます
このように減塩ブームとは逆に、一方では副腎疲労が疲弊期に進み、体で塩分を欲求している現代人は潜在的にかなり多くいるのではないかと思います。
副腎疲労を検査するには、血液検査ではDHEASという項目を測ってみたり、また毛髪ミネラル検査も有効です。
また唾液コルチゾール検査からも副腎の状態を把握できる有効な検査です。
唾液を1日何回かに分けてとるだけでコルチゾール分泌量が分かるので検査方法としてはとても簡単です。 当
院でも今年から唾液コルチゾール検査をできるようになりましたので、ご興味がある方はお問合せください。
また余談ですが、我が家でもこの唾液コルチゾール検査を夫にしてもらいました。
最後の夜の唾液採取を前にかなり大きい夫婦喧嘩になりまして、かなり夫に強いストレスがかかったのちの唾液採取となりました。
結果本来であれば夜に向けてコルチゾール分泌が少なくなるところ、夜の時間帯でコルチゾールが上昇していました。
やはりストレスがコルチゾール分泌を促しているなーという面白い結果になりましたが、正しく検査したい方は当然ですが、なるべく穏やかに過ごした日に採取してください。
副腎疲労の治療については生活習慣や食生活の指導やサプリメントの処方、場合によっては高濃度ビタミンC点滴も行っております。
まずは根本ストレスから回避することが一番です。
しょっぱいものが無性に食べたい方は今一度ご自身の生活スタイルを見直してみてください。