パンが無性に食べたい本当の理由

先日栄養セミナーの終了後,一人の女性が私のところに来てこんな質問をしました。

「分子栄養学というのはサプリメントを飲まずに食事だけでも治療ができますか?また食事のアドバイスというのはいただけますか?」という質問をいただきました。

この方だけではなくこのような質問はよくされます。栄養療法、オーソモレキュラー療法というものにまだまだ誤解があるようで、分子栄養学に基づく栄養療法をサプリメントの大量摂取という認識の方がまだまだいるのかもしれません。またセレブの医療といった高額の治療費がかかるものという誤解もまだまだあるかもしれません。

答えはまずは個体差によりますが、当院では基本はまずは食事指導・生活習慣の改善の指導がメインです。そして血液検査やカウンセリングをもとに極端に欠乏している栄養素があれば、効率をよくする一つのアイテムとしてサプリメントの摂取という順番です。いろんなタイプの方がいて、来院時すでに多くのサプリメントを摂取している方や、またサプリメントというもの自体に疑惑をいだいてる方もいらっしゃいます。またサプリメントをとったところでなかなか症状が改善しない方がいるのも事実です。そのような方は単なる栄養不足だけではなく、重金属の蓄積や消化管の機能といった根本原因をさぐる必要があります。

 

食習慣や生活習慣の改善なしにサプリメントをとってもかえって効率が悪くなります。その結果次から次と色んなサプリメントを試し結果高額のサプリメント代を費やしてしまうということになりかねません。なるべく早く治療効果の結果を出し、料金もかけたくないのであれば食習慣や生活習慣の改善は必須になります。

 

この「食習慣・生活習慣」。「習慣」という言葉だけあってなかなか改善するのが難しい場合があります。特に高齢の方であればあるほど長年続けてきた習慣の改善は一筋縄ではいきません。

食習慣の改善の中でも腸内環境の悪い方にはグルテンフリー・カゼインフリーをお勧めしていますが、特にこのグルテンの摂取をやめることができないひとが多いお話を書きます。「グルテン」とは小麦に含まれるたんぱく質のことです。また「カゼイン」とは乳製品に含まれるたんぱく質のことです。グルテンフリー・カゼインフリーとは、小麦製品や乳製品を除去してもらう食事のことです。

グルテンに対する遺伝性の不耐症で小腸の粘膜に特徴的な変化を起こし吸収不全を起こす病気にセアリック病というものがあります。このセアリック病の人はグルテンを食べると腸の粘膜に炎症が生じ、症状としては下痢・腹部膨満・悪臭のある便また低体重や低栄養といったことが起こります。欧州やアメリカでは150~250人に1人の割合でいると言われていますが、日本では極めてまれです。

しかしこのセアリック病と診断をうけなくても日本人で実際にグルテンをぬくことによって調子がよくなる方は沢山います。なぜならグルテンは誰にとっても消化に負担がかかる、消化しずらいたんぱくの一つだからです。

小麦のタンパク質グルテンを消化するにはしっかりと消化酵素が分泌されていなければいけません。しかし実際消化酵素がしっかりと分泌できている方は少ないのです。胃酸の分泌量や炭水化物の消化酵素はある程度分子栄養学に基づく血液解析から推測することができます。消化酵素不足によって完全に消化されないグルテンは未消化の状態で腸に流れ込みます。この未消化のものをグリアドルフィンペプチドと呼びます。このグリアドルフインペプチドは血液を流れ、血液脳関門を通過し脳に作用します。この物質はモルヒネ様物質として中毒作用があると言われています。抑制しがたい衝動や強迫観念に襲われたり、またこの物質が聴覚や言語を司る側頭葉のオピオイド受容体の結合することによって、神経の異常興奮を引き起こします。

   栄養療法.jpより引用

まだまだ未知で解明されていない部分が多いことも事実ですが、このような脳への作用が統合失調症や自閉症、ADHD(注意欠陥多動性障害)の子供に見られる異常行動の原因の一つになっている恐れがあります。ちなみに乳製品の未消化の物質も同じような作用をもたらします。

栄養療法の第一歩は食事の改善です。しかしそこからつまづく人も多いのです。その背景にはこのような食べ物が脳へ作用し、やめたくてもやめられない。わかってはいるけどパンやパスタ、お菓子などついつい食べてしまう。という強い衝動や中毒作用が関係しているケースが多いのです。パンやパスタなどの小麦製品をやめてほしい人に限ってやめられないということが多いです。

IgG遅延型アレルギー検査は多様な項目の食品への遅延型アレルギーの状態をみていますが、あまりにもパンが好き。パンがやめられない。またはお菓子が好き。小麦製品がやめられない。といった方は一度検査することをお勧めします。グルテンや乳製品まやカンジダ・アルビカンスへの反応の強さもわかります。

カンジダ・アルビカンスについての詳細はこちらをご覧ください。

グルテンフリー・カゼインフリーをするだけで原因不明の腹痛が治った。また難治性の吹き出物が治ったケースなどサプリメントを摂取する以前にやるべきことがある人は沢山います。特に発達障害や発達がグレーな感じのお子様も試す価値はあると思います。