意外と知らない脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)の話

昨日地元のニュース番組で「非アルコール性脂肪肝」について取り上げていました。驚くことにニュースキャスターも街中のインタビューされた人も、非アルコール性脂肪肝として紹介されていた患者さんも、皆さん「脂肪肝=アルコール」というイメージで、皆さん口をそろえて「私はアルコールを飲んでないから大丈夫だと思っていた。」「タバコも吸わないのに脂肪肝になるとは信じられない。」といった発言をしていることに驚かされました。

「非アルコール性脂肪肝」は分子栄養学に基づく血液解析ではよく見かける慢性炎症の一つです。ところがそもそも肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるほど自覚症状が乏しく、何か症状が出たときにはすでに重症になってるケースや、血液検査の数値が異常に高くなっていて発見されるケースがほとんどだと思います。

ところが、自覚症状がなくても、肝臓を反映している血液検査が「H」(基準値の上限を超えているマークとついていなくてもすでに脂肪肝になってるケースは多いのです。脂肪肝は症状は乏しいですが、れっきとし慢性炎症の一つです

肝臓そもそも生活習慣の影響を受けやすく飲酒や肥満などにより酸化ストレスが増強します。肥満の増加と共に肥満由来の脂肪肝、NASH(非アルコール性脂肪肝が増えています)

脂肪細胞は単なるエネルギーの貯蔵としての役割だけではなく多くのサイトカイン(細胞が分泌する生理活性物質)を産生し、分泌しています。

TNF-α 脂肪分解による遊離脂肪酸と共に分泌されインスリン抵抗性に深く関与しています。

PAI-1 血管障害を発症させる。脂肪細胞の容量増大に伴って分泌増加

※インスリンとは

血糖(ブドウ糖)のレベルは膵臓から分泌されるインスリンによって調節されています。インスリンは骨格筋・脂肪組織・肝臓に作用し糖の吸収を促す働きをするホルモンです。

※インスリン抵抗性とは

インスリンに対する感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態のこと。簡単にいうとインスリンの効きが悪い状態のことを言います。インスリン抵抗性があると筋肉や脂肪組織の糖の取り込みが低下し、その結果血糖値が下がりにくくなり血糖値を正常に戻すためにはより多くのインスリンが必要になります。この状態が長く続くと膵臓のインスリン分泌機能が低下し、血糖値が上昇しⅡ型糖尿病を引き起こすと言われています。

<非アルコール性脂肪肝の原因でよく起こり得るもの>

①肥満

肥満による脂肪細胞の増大や過剰な糖質摂取により中性脂肪(TG)の合成が亢進します。さらに上記で述べたインスリン抵抗性が憎悪させます。

②高カロリー輸液

③内分泌性脂肪肝

・Chushing症候群や副腎皮質ステロイドの過剰投与が考えられます。ステロイドは糖質コルチコイド作用によって脂肪組織から脂肪酸が総動員された結果起こります。

甲状腺機能亢進症・低下症。甲状腺ホルモンはタンパク異化作用がある一方糖利用も促進します。そのため肝臓では糖新生の亢進がみられ過剰産生された糖は中性脂肪(TG)に変換され脂肪肝を発症します。また低下症では糖代謝も脂肪代謝も抑制され余剰な糖や脂肪は中性脂肪となって肝臓に蓄積し脂肪肝になります。

※糖新生とは

簡単にいえば糖質以外の物質をグルコースに変換すること。血糖値が下がった時に新たに糖を生成することで血糖値を維持するシステムです。

④低栄養

飢餓・低たんぱく食などの低栄養でも実は脂肪肝になります。低栄養状態ではリポアポたん白(運搬たんぱく)の合成が阻害され、脂質を血中に送ることができず、中性脂肪が肝臓に貯留し発症します。

※リポタンパクとは

血液中にある水に不溶な脂質を運搬するタンパク質です。

つまり肥満・高カロリー輸液・ステロイド・甲状腺異常・低栄養がアルコール以外の原因で脂肪肝を引き起こしているのです。

脂肪肝は血液検査ではAST・ALT・γーGTPをメインに他の項目と合わせて診ていく必要があります。AST・ALTの血液検査についての解説はこちらのブログをお読みください。

この項目が明らかに「H」となった場合もちろんすぐに病院でも肝臓の異常を発見されますが、数値に「H」がつかない方にも数多く脂肪肝になっているケースがあります。

低タンパクな方やビタミンB6が不足していて同時に脂肪肝もある場合はAST・ALTの項目が低めに出てしまうケースがあるのです

ご自身が上記に当てはまっている方はぜひ分子栄養学に基づく血液解析を受けてみますと早期に脂肪肝を発見することに役立ちます。また脂肪肝の治療は薬剤などが関係していない場合は基本的にやはり食事や生活習慣の改善、運動がメインになります。誤った食事のとり方や生活習慣ですとかえって悪化させる場合もあります。

上記にも書いたように低栄養でも脂肪肝になりますから、ただただ食事制限やカロリー制限をするという単純なものではありません。昨日のテレビでは脂肪肝のために野菜スープが紹介されていましたが、野菜だけではなくタンパク質の補給や抗酸化対策も必要です。