乳がん予防のための栄養アプローチ2 (血液から乳がんリスクを読み取る)


ブログを書いているとよく思おうことが、自分が理解していることでも分子整合栄養医学の知識のない方に説明したいことをかみ砕いてわかりやく説明するということが案外難しいということです。今日は血液検査から乳がんリスクが高いのかどうかを読み取り方について書こうと思いますが、乳がんの話に行き着くまでに前段階として少し前置きを説明しなければなりません。

健康診断レベルでもよく測られるAST(GOT)/ALT(GPT)ですが、この項目から乳がんのリスクを読み取ることができます。

一般の方でもAST/ALTは肝機能を診る項目というのはご存知かもしれません。ここでまず初めに理解しなければいけないことは肝機能障害と肝組織障害は厳密に言えば違います。

  1. 肝機能障害とは
  2. 肝機能(タンパク合成・抱合・代謝)が落ちることをいいます。この機能を見るには肝臓のみで作られるタンパク質の項目を見ていきます。
    Alb(アルブミン)・ChE(コリンエステラーゼ)・総コレステロール(リポ蛋白)が低下してきます。

  3. ②肝組織障害とは
  4. 肝臓で作っている組織・細胞が感染または炎症などにより破壊されることです。
    →このとき逸脱酵素(臓器が破壊されると血液中に逸脱してくる酵素)が上昇してきます。
    AST (GOT)は肝臓・心臓・筋肉組織の逸脱酵素を反映します。
    ALT(GPT)は主に肝臓を反映し脂肪肝やウイルス性肝炎の指標に用いられます。
    LDH心臓・肺・肝臓・筋肉・赤血球を反映します。

    →つまり肝組織障害が起こっているとAST・ALT・LDHなどが上昇してきます。

一般的に健康診断ではAST・ALT・LDH・γーGTPなどの項目が基準値を超えていれば肝臓に何がしか炎症か組織破壊が起こっているかもしれないね。と診断されるわけです。
一方これらの数値が低いもしくは基準値に収まっている場合は全く指摘されることはないわけです。

ところが分子整合栄養医学的にここの項目を解析すると、もちろん高すぎる場合も先ほど述べた通り問題はありますが、低いからといって安心はできません。AST/ALTの数値が低い場合①肝機能障害の疑いがあります。つまり肝臓において体にとって必要不可欠なタンパク質の合成がうまくいってないことになります。

ここでさらにAST・ALTについて追加で補足説明しなければいけません。
AST・ALTはアミノ基転移反応に必要な酵素です。簡単にいえば食べたタンパク質が上手く体で使えているかをみています。酵素自体はタンパク質で出来ていますから、当然低たんぱくな方(肉・魚・卵・豆などなどの摂取が少ない人)はこの酵素が少なくなります。つまりAST・ALTの血液検査数値が低値になります。また全てのアミノ基転移反応(トランスアミナーゼ)は補酵素としてビタミンB6(PLP・ピリドキサルリン酸)を必要としています。

血液検査ではALTの方がビタミンB6不足によって大きく数値が変動しやすいことを利用してASTとALTの差からビタミンB6不足を推測します。ALTはASTに比べて寿命が長いので補酵素不足の影響を受けやすいわけです。ここで余談として海外の採血管にはビタミンB6があらかじめ加えられているためAST・ALTの差からビタミンB6不足を推測するということはできません。この解析の仕方はあくまでも日本で採血された方のみに適応できます。

色々と小難しい話をしたのでここで例をあげて説明してみます。

例1)AST13 ALT6 という検査結果の女性

この方はまず一般の内科的にみれば何も問題がなく健康です。と言われる可能性が高いです。

次に分子栄養学的に解析してみると

  1. 低たんぱく (通常AST20 ALT20はほしいところ、AST ALTの数値が低値なため)
  2. ビタミんB6不足→AST13 ALT6 数値の開きが13-6=7 かなり開きがある (通常開きは2くらいまで)

 

こう読んでいきます。

 

例2)AST20 ALT30 という検査結果の男性

この方は一般の内科でもそれほど肝臓の炎症を指摘されるレベルではないかもしれません。

分子栄養学的に解析してみると

  1. ALTが高値 (これは上記の説明から肝組織障害つまり炎症・組織破壊・感染などが疑われます。一般的に感染がない場合は脂肪肝であることが多いです)
  2. ビタミンB6不足は判断できない(ビタミンB6が足りてるとは言えない)→炎症や組織で逸脱酵素が多く出てしまっているので、この場合はAST・ALTの性質をいかした補酵素ビタミンBの不足を判定できません
    →この場合炎症で上昇するLDH・ChE(コリンエステラーゼ)・ALP(アルカリフォスファターゼ)・フェリチンなどの項目も合わせて読み解いていく必要があります。

 

ASTとALTの場合だけみても、あくまでも血液はシーソーのように血液数値を大きくする要因(炎症・組織破壊・脱水など)と小さくする要因(ビタミンB不足・低たんぱく)のバランスによって数値が出されます。なので解析者は問診からも得られる情報は非常に多いので、視診・触診・問診プラスデータとして総合的に判断する必要があります。なので血液解析は読み方に経験値というものが重要になります。初心者が読み取るか熟練者が読み取るがで全く推測される内容が変わってきてしまいます。

ようやくASTとALTの開きからビタミンB6が導きだされるという説明が一通り終わりました。

ここからようやくビタミンB6と乳がんリスクの話につながっていくわけです。

ビタミンB6は神経伝達物質の合成に不可欠な栄養素です。

  1. セロトニン合成に関与→幸せ感・眠りに影響します
  2. B6不足の場合セロトニン、メラトニン合成がうまくいかず眠れない、寝つきが悪い、途中覚醒、なんとなく楽しくないなどといった症状が出てきます。

  3. ドーパミン合成に関与
  4. →ドーパミンはコンサートやライブに行った後のような興奮、満足感などに影響します。
     ドーパミンが極端に少なくなった疾患にパーキンソンがあり、逆にドーパミン過剰の場合、妄想統合失調などの幻覚・幻聴や多動などの症状が出ます。

    ビタミンB6不足やまた銅と亜鉛のミネラルバランスが悪い場合ドーパミンとノルアドレナリンのバランスが悪く(ドーパミン低下・ノルアドレナリン上昇)、やる気が出ない、イライラする、不安感が強い、パニック症状といった症状が出現します。

  5. GABA合成に関与
  6. →GABAは抑制系の神経伝達物質で鎮静作用があります。

ビタミンB6不足の場合乳幼児であれば興奮を抑制できず、場合によってはけいれん・てんかんといった症状を起こすこともあります。
大人であっても不足すればイライラ、ヒステリーといった症状が出てきます。またこの伝達物質は亜鉛欠乏でもGABAの活性が落ち上手く働けません。ちなみにGABAは音の聞き分けに必要なもので発達障害のある自閉症児の場合グルタミンからGABAまでの代謝が上手くいかず、その結果GABAが極端に不足してしまうため、症状の中で音の聞き分けができないということがあります。つまり学校や騒音の中で今話している人の声だけを聴きとる能力が落ち、はたから見ると話しを聞いていないように見えてしまい誤解を受けることがありますが、本人は聞き分けができないという問題を抱えてることはなかなか理解されません。

 

このようにビタミンB6は脳神経伝達物質においてかなりの重要な役割を担っています。ビタミンB6不足があるとなんとなく付き合いづらい人に見られなり、神経過敏な性格だと誤解を受けるかもしれません。そもそも生まれ持った気性というのはあると思いますが、栄養療法をしていく中でほとんどの方が、感情のアップダウンが落ち着いてきて温厚な傾向になります。当然激しい気性の患者さんの家族や身近な方からはトラブルが減ったと喜ばれることはよくあります。

次にCOMT(カテコールーO-メチルトランスフェラーゼ)についてお話します。COMTは先ほど説明した脳神経伝達物質ドーパミン・アドレナリン・ノルアドレナリンなどのカテコールアミン類を分解する酵素の一つです。また女性らしさに関わるエストロゲンホルモンの代謝やエストロゲン作用をもたらす環境ホルモンの解毒も同時に担っています。なのでCOMTが上手く働かないとドーパミン・アドレナリンが過剰・エストロゲン過剰になります。

COMTの働きはもともと生まれ持った遺伝子タイプによっても働きが違います。遺伝子検査をすると自分がCOMTの働きがいいタイプか悪いタイプかはわかりますが、遺伝子のことを話し出すとさらに話が長くなるのでまた別の機会にします。

遺伝子以外でCOMTに影響を与えるものがいくつかあります。

  1. COMTはビタミンB6を補酵素とするのでビタミンB6が不足するとCOMTの働きが悪くなります。
  2. カフェイン(コーヒーや緑茶など)はCOMTの働きを抑制します。その結果コーヒーを飲むとドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリン・エストロゲンが増え頭が冴える、眠くならないという現象がおきます。

エストロゲンが過剰に増えるとホルモン系のがん、乳がん・子宮がん・前立腺がんなどのリスクが高まります。

とここに繋がるわけです。

というわけでまとめると

例1)AST13 ALT6 という血液検査結果の女性は

低たんぱく・ビタミンB6不足→COMT働き悪い→エストロゲン増える→乳がんリスク上昇
となります。

この方が合わせてコーヒーを飲んでいると一層COMTの働きは悪くなるかもしれません。
またこの結果だけからでもこの方の脳神経伝達物質の状態が上記の理由から推測できるので、眠りが悪く・幸せ感がなく・イライラ・神経過敏などとおおむね予測はできるわけです。

以上長くなりましたがご理解いただけたでしょうか?また機会を見てさらにかみ砕いて書けるように努力していきます。
次回は乳がん予防のためにどんな栄養素を摂るべきかについて書いていきます。