栄養療法のよくある失敗ケース

今日は栄養療法を取り入れ始めた人が陥りがちな失敗するケースについて書きたいと思います。

 

最近では当院を受診する前に、「インターネットやFBグループなどの情報をもとに栄養療法を既に取り入れ実践しています。」という方も札幌でも見かけるようになってきました。沢山の情報を元に自己流のメガビタミンや高タンパク、糖質制限などを取り入れてる方が多いです。

 

私も分子栄養学に出会い、栄養療法を始めた頃は無知が故に、また物事の一方だけの側面のメリットだけを鵜呑みにし沢山失敗し、かえって症状回復まで時間がかかり遠回りしてしまったことがあります。分子栄養学に出会う前までの私にとっては、個体差に合わせた栄養素をその個人の至適量まで十分補給するという考え方は、とても画期的な概念で、「これこそがこれからの医学の主流になってくるに違いない!」と確信していました。「足りない栄養素を個体差に合わせ十分量補う。」ということですが、ところがそう簡単なものではないのが人間の身体の仕組みです。

 

ここでよくある栄養療法 失敗ケースの例をいくつかあげてみたいと思います。(こちらの例もあくまでも個人差があります。下記のケースでもちろん体調が良くなるケースもあります。)

 

1、鉄欠乏性貧血に対するアプローチ

 

鉄欠乏(一例;フェリチン低値など  貯蔵鉄を反映している検査項目)→ヘム鉄の大量投与

 

2、低タンパクに対するアプローチ

 

低タンパク(総蛋白・アルブミン・AST/ALT 低値 タンパクの指標一例)→プロテイン補給や高タンパク食(MEC食など)

※MEC食    meet(肉) egg(卵) cheese(チーズ)

 

3、血糖値乱高下へのアプローチなど→厳格な糖質制限

※厳格な糖質制限(白米や根菜類なども含む炭水化物や糖質など一切摂らない)

 

4、口腔内アマルガム(水銀などの重金属蓄積)→すぐに除去・キレーションなどのデトックス治療

※アマルガムとは「歯科用水銀アマルガム」の略で、主に虫歯治療のために歯に充填される歯科材料。以前は多く使われていましたが、最近はかなり減ってきています。

 

5、カンジダ菌対策→厳格なカンジダ食(厳格な糖質制限や発酵食品 アルコール類 きのこ類 食品添加物などの完全除去食)

カンジダ菌とはこちらをご覧ください。

 

などなどです。実はこれらは分子栄養学に出会って間もないころ私がしてしまった失敗のケースの一例でもあります。(4のアマルガム除去は除く)

 

1 鉄について

鉄欠乏性貧血の改善にはもちろん身体に鉄が不足している人は鉄のサプリメントは必要かと思うかもしれませんが、肝心なことは「なぜその人が鉄欠乏に陥ってしまったか?」というところなのです。鉄は諸刃の剣。身体にとって必須ミネラルと同時に悪玉菌にも必要な栄養素。また活性酸素も発生させます。

 

2 タンパク質について

タンパク質についても同じことが言えます。もちろん人間の身体は髪の毛・筋肉・酵素・爪・肌・皮膚などのコラーゲン・抗体などなどタンパク質を元に作られています。当然低タンパクの方は、体を構成する材料不足が起きるわけですから、タンパク質が足りている人に比べると体の異化が亢進し不調になりやすいわけです。ところがこの項目も「なぜ低タンパクになってしまったのか?」という根本的なろところを考える必要があるわけです。

そこを考えず無視してただ単にプロテインや高タンパク食を取ることはかえって身体にとっては負担になり二次的な不調を引き起こす原因になりかねません。タンパク質は消化の段階で沢山の消化酵素を必要とします。未消化のタンパク質は腸粘膜を傷つける原因やその他小胞体ストレスを生み出します。

 

※異化とは 代謝亢進状態。酸素消費量の増大、糖新生増大、脂肪分解促進、タンパク質分解の亢進などの状態

 

※小胞体ストレスとは 正常に機能しなかったタンパク質が小胞体に蓄積しそれにより細胞に悪影響を生じること

 

3糖質制限や高たんぱく食

また厳格な糖質制限を行なっている方も結果的に糖質を摂らない分、高タンパク食や高脂肪食になります。こちらも個体差にもよりますが、安易な糖質制限が二次的な体調不良をもたらすことになりかねません。

 

「糖質制限が上手くいく人」と「糖質制限が上手くいかない人」の違いをしっかりと理解する必要があります自分はどちらのタイプなのかを正しく見極める必要があります。今まで炭水化物に偏っていた方が急に糖質制限をはじめると、確かにダイエットを望んでる方にとっては、急速に体重が減りやすいのも事実です。だからといってこの療法を続けることが最終的にその方の健康にとって最適なのかどうかを長い目で見通す力が必要なのです。

糖質制限がうまくいかない人はこのような方です。

 

・筋肉量が少ない方

・肝機能が良くない方

・副腎疲労がある方

・タンパク代謝や脂肪代謝がうまくいってない方

・胃腸消化機能が低下している方

などなど

 

血糖値を維持するための筋肉や肝臓・副腎の機能に加え消化吸収がうまくいってることがまずは条件になります。

逆に言えば筋肉のない細身の女性などはまず、よほど注意深く管理をしないと最終的に体調を崩すことになると思います。

 

4アマルガム除去や早急なデトックス治療

水銀をはじめとした重金属蓄積が難知性の疾患や症状の原因になっているという事は最近では徐々に世の中にも知られてきていることだと思います。もし自分の口腔内にアマルガムが入ったとしても体の解毒機能や腸内環境を無視して早急に除去する事はかえって、体調をくずす原因になりかねません。なぜなら除去する時に一番飛散し暴露される危険性が高いからです。解毒機能や腸内環境、全身状態を把握してから除去の時期や方法を検討する必要があります。

またキレーション治療などのデトックス治療は重金属も排泄すると同時に身体にとって必要な必須ミネラルも体外に沢山排泄してしまい、結果的に体調不良を起こす事になってしまいます。

 

5カンジダ除菌やカンジダ食

腸内環境でやっかいなものはバイオフィルムを形成するカンジダ菌ですが、こちらも最近ではカンジダ対策としてインターネットなどにカンジダ食について色々な記載がされています。

カンジダに良くないとされる食品

1 糖質

2 アルコール

3 小麦・乳製品

4 食品添加物

5 発酵食品

6 キノコ類

7 糖質の含む調味料

など

これら以外のものを食べようとすると正直食べられるものがかなり制限されてしまいます。食品のワンパターン化やそもそも食事そのものへのストレスはかなりのものでしょう。体重減少や免疫力の低下なども場合によっては引き起こします。これらの食事にもその体調に合わせた優先順位というものがあります。自分の体調を把握せずこれらのことを全て実行するとかえって体調を悪くする可能性があります。

 

などなどまだまだ栄養療法を始めた人がはまりやすい失敗するケースについて、よくあるパターンについて記載してみましたが、これ以外にもまだまだいろんなパターンはあります。

「栄養療法、失敗あるある。」についてまとめてみましたが、上記のような安易な考えに基づいた栄養療法は高額なサプリメント料金を費やしてるわりには、効果が上がらない。もしくは一時的に効果を感じた後に、二次的な体調不良が起こってくる。結果がでないままサプリメントをはじめとした栄養療法の治療が高額すぎて栄養療法を継続できない。などこのようなことが起こってくるのではないかと思います。

 

日本国民の保険医療費が驚くほど膨れ上がっている現在。ただやみくもに病院や薬局に行って沢山の薬をもらってきて、服用する。もしくは結局服用せず捨てる。という時代の流れは行き詰まり、予防的観点やさらなる健康増進のために分子整合栄養医学の概念や治療法をおそらくこれからの時代に必要不可欠だと思っています。

 

分子整合栄養医学(オーソモレキュラー療法)の根本の概念に間違いはないと思いますが、その医学をみなさんに実際に還元していくためには、個体差を無視した浅い栄養療法の知識ではかえってあだになるケースが多いということです。分子整合栄養医学と従来の栄養学の決定的な差は検査結果などに基づきエビデンスをもとに、一人一人に合った治療をしていくというものです。

○○先生が良いと言っていたから、お友達がその治療で良くなったから、インターネットに書いてあったから、Facebookグループに書いてあったから。などと言う理由は、分子整合栄養医学ではなく今までの従来の栄養学の考え方という事です。

 

今回私がこのような記事を書いた背景には以前の私もそうであったように、あまりにも多くの人が色んな情報に振り回され、迷走し、かえって体調を崩しているという方々を多くみかけるようになってきたからです。

次回は実際の私の失敗体験談のブログの記事を書きたいと思います。