口唇が異常に乾燥するのはなぜ?

冬場はどなたも乾燥が気になる季節です。特に女性にとって乾燥は肌の小じわなどの原因にもなり放ってはおけない問題ですよね。また唇も乾燥しやすくリップクリームが欠かせないという人も良く見かけますね。今日はこの口唇の乾燥や皮がむける、といった症状について考えてみたいと思います。

口唇の皮がむけるという些細な症状で病院に行かれるという方もほとんどいないと思いますが、実は体に足りない栄養素を反映している場合や身体の消化・吸収や免疫とも密接に関係している場合があります。

口唇や口腔内の粘膜というのは非常にデリケートな場所でもありますが、熱いものをうっかり食べてしまって火傷をした時のことを思い浮かべていただきたいのですが、案外わりと早くに治ってしまう器官でもあります。

口唇や口腔内の粘膜は細胞のターンオーバー(入れ替わり)が早く皮膚とは違い1週間から10日程度ですべて入れ替わります。そのため傷の治りも早いんですね。そのため口唇や口腔内というのは栄養状態が他の器官よりも反映されやすいのです。

口唇の皮がむけてしまう。異常に乾燥してしまう人には傾向性があることがわかります。下記の項目はその一部です。

□胃腸機能が弱い

□油物を避けている。

□すぐに下痢をしてしまう。

□ドライアイ

□皮膚も乾燥肌

□総コレステロール値が低いもしくは高い

これらは脂溶性のビタミンが不足しがちな人に共通する項目です。

脂溶性ビタミンにはビタミンA・D・E・Kがあります。これら脂溶性ビタミンを吸収するためには脂肪の消化が上手くいってないと体に取り込むことはできません。水溶性ビタミンにはビタミンBやCがありますが、これらの水溶性ビタミンの吸収とは異なります。

 

 

 

 

 

脂肪の消化吸収は胃リパーゼや膵リパーゼによって中性脂肪が加水分解され脂肪酸は不溶性なため十分量の胆汁酸によってミセルという親水性の非常に小さい分子に取り込まれ腸管から吸収されます。簡単にいうと胆汁は水と油を混ぜるときに使う卵の役割と一緒です。本来混ざらないものを卵を入れることによって乳化し(混ざり合い)マヨネーズができるわけです。

小腸上皮細胞にはいったミセル(乳化物)は今度はタンパク質と結合しカイロミクロンという大きなリポ蛋白(運搬たんぱく)を作ります。カイロミクロンはリンパ管から吸収されリンパの流れにのり、静脈と合流しいったん心臓に戻ってから全身に運ばれます。

脂質だけどうしてこんな迂回ルートを通って吸収されるかというと、脂質はそのままでは分子が大きすぎて毛細血管に入れないのです。中鎖脂肪酸(ココナッツオイルやMCTオイルなど)のように鎖が短く分子の大きさが小さいものはそのまま門脈を通って肝臓に入ることが出来ます。そのため中鎖脂肪酸はエネルギーとしてすぐに使われやすいと言われています。

※ミセル(乳化)とは本来混ざり合わない同士(水と油など)のものが均一に混ざり合う状態 

(下記の図で赤い部分:水に溶けやすい状態    黄色い部分:水に溶けにくい状態

口唇が乾燥しやすい傾向の方に胃腸障害と書きましたが、SIBO(小腸内細菌増殖症)と呼ばれる小腸に細菌が異常繁殖してしまっているような方は、この異常繁殖した腸内細菌が先ほどの胆汁酸塩の働きを妨げてしまい、胆汁の働きが悪くなり脂肪をミセルの状態にしにくくなり、結果脂肪を十分に吸収できなくなります。SIBOについてはまた別なブログで記事を書いてみたいと思います。

また胆汁酸はもともとは肝臓でコレステロールをもとに合成されていますから、血液検査の数値で総コレステロールの数値が低い方も結果として胆汁の合成がうまくいかず、脂肪の吸収が上手くいかないということになります。またコレステロールが高いからといって、胆汁がしっかり作られているか?というとそうじゃない場合もあります。血液中のコレステロールを細胞が上手く使えてない場合も同様に脂溶性ビタミンは不足してしまいます。

それぞれの脂溶性ビタミンの不足は下記をご覧ください。当てはまっているものが多いほど、やはり脂肪の吸収がうまくできていない、いわゆる胃腸障害が根本原因と考えてもいいでしょう。

ビタミンA欠乏の一例

①眼球乾燥②夜盲症(暗いところで物が見えずらい)←これら2つは典型的欠乏症ですが、この症状が現れる以前にも潜在的欠乏症の症状で、③角化症④味覚異常⑤免疫低下などなど様々な症状を引き起こします。

ビタミンD欠乏の一例

①骨の合成に関与しているので骨粗鬆症②免疫力の低下や過剰③がんのリスクが高まるなど

ビタミンE欠乏の一例(ビタミンE欠乏症の症状は一般的には自覚症状として感じずらい)

①免疫の低下②抗酸化作用の低下③視力障害など

話をもとに戻しますが、口唇が乾燥する、荒れている、皮がむけるという方はこれらの脂溶性ビタミンが不足している可能性が高いのです。

特にビタミンA不足は粘膜上皮機能が低下し、分泌腺が委縮し、粘膜が乾燥しやすくなります。またビタミンAは細胞の分化にも関与しているため不足は角化異常がおこり、いぼやポリープ・サメ肌が現れやすくなります。

ビタミンAの血中濃度は厳密に制御されておりビタミンA投与によっても通常は高値は出現しないと言われています。ビタミンAはかなりの量体内の肝臓や肺・腎臓・子宮などにもビタミンA貯蔵細胞が存在し貯蔵しています。ビタミンAの80%はエステルとして安全な形で貯蔵され必要な時にはいつでもすぐに供給できるようになっています。しかし長期にわたる脂肪の吸収障害や胆道系の障害ではビタミンA欠乏症がでてくると考えられます。

またタンパク欠乏でもRBP(レチノール結合タンパク)の産生が低下しビタミンAの利用低下が起きます

口唇の乾燥を防ぐためには対処療法として一時的にビタミンAのサプリメントを使用するのも効果的ではありますが、食事内容や胃腸障害へのアプローチも同時に検討する必要があります。

脂溶性ビタミンの原則は天然型の活性してないタイプとして補給することが大原則です。ビタミンAと一言でいっても色んな代謝を経て色んなタイプがありますので、やはり専門家と相談してから摂取してください。自己判断での補給にはリスクがあります。 

次回は口腔カンジダと口唇の皮がむける関係性について書いてみたいと思います。

 

 

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